2006年8月に、葉が黄化・枯死をしたバラが持ち込まれました。ロックウールを用いた養液栽培で、夏になり気温が高くなった頃から急速に多数の株に症状が出たとのことでした。症状株では左の写真のように根の多くが黒褐色に変色・腐敗しており、根の腐敗が地上部の症状につながっていることは明らかでした。複数株の黒褐色に腐敗した根からはそれぞれピシウム属菌が高率で分離されたため、種の判別をDNAレベルで行ったところ(ピシウム属菌は見た目で細かな種類の判別は難しいです)、Pythium helicoides(ピシウム ヘリコイデス)と良く一致し、その症状が1996年に新たに発生した同菌によるバラ根腐病であると判断しました。
バラ根腐病については初発生以降全国に急速に広まっているとされています。高温の夏期に症状が急速に進みますが、伝染はその前後の時期によく形成される水中を泳ぐ胞子(=遊走子)により起こることなど、岐阜大学でよく研究されています。
2007年8月にも同様に左の写真のように葉が黄化・枯死したり、根が黒褐色に腐敗したバラの調査依頼があり、また同じバラ根腐病だろうと思い調査を開始しましたが、ピシウム属菌は検出されない一方、リゾクトニア属菌が腐敗部位から多数分離されたため、こちらはバラ立枯病と判断しました。これら根腐病と立枯病の他に類似の症状を出す病害としてバラ疫病が知られています。これら病害の間では発生時期や症状が似通っている反面、効果が期待できる薬剤の種類は大きく異なること、被害程度にも違いがありえるため、類似の症状が発生した場合はどの病害なのか正確に調査することが必要になります。 (2008年5月7日) |