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| ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。 |
| バックナンバーの情報につきましては、発表当時の内容をそのまま掲載しております。文中の農薬に関しましては必ず最新の登録状況をご確認ください。今まで使っていない農薬を使用する場合は、お近くの種苗専門店や農協、公共機関ともご相談ください。 |
植物に発生する病気の3要素は主因(病原菌)素因(宿主)誘因(環境)です。つまり、「1.病原菌がいて、2.そこに病気になる植物がある。3.さらに病原菌が植物に感染できる環境条件があって、植物は病気になる。」ということです。1つでも欠けると病気にはなりません。 素因対策(病気にかからない植物、つまり病害抵抗性品種)ができれば何と楽なことかと皆さん期待していると思いますが、病害抵抗性品種を作出するためには3つのハードルがあるのです。 1.罹病性評価系 2.抵抗性遺伝資源の探査 3.抵抗性の導入と選抜法 しかし、近年の目覚しい分子生物学や遺伝子解析装置の進歩のおかげで病害抵抗性のしくみの解明や選抜の効率化が進んできています。そのおかげで品種変遷の激しい花き類においても病害抵抗性が付与された品種が盛んに育成されるという時代が近いかも知れません。 |
(2012年4月6日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] |
今回は食害による商品価値の低下やトスポウイルス属を媒介するアザミウマとして問題になっているミカンキイロアザミウマについてお話したいと思います。 1)ミカンキイロアザミウマはどこから来たか 「アザミウマ」と呼ばれている害虫が最初に問題になったのは1980年代でした。この時は東南アジアから「ミナミキイロアザミウマ」が日本に進入し、施設栽培に大被害を与えました。 |
2)ミカンキイロアザミウマの特性
ミカンキイロアザミウマはミナミキイロアザミウマより寒さに強く、花が好き、おまけに好き嫌いが少なく、芽・新葉・果実などいろんな部位に寄生し加害してしまう厄介ものです。増殖に関しては雌1匹が気温25—30℃の環境で葉だけ食べると1カ月で7倍程度の増殖ですが、花粉を食べると約70-370倍に増殖率が高まることが調べられています。 |
3)ミカンキイロアザミウマの生態 卵から成虫まで15度では約35日間、20度では19日間、25度では12日間、30℃では9日間と短期間で発育すると言われています。また、アザミウマの卵は植物組織の中、蛹は土中に生息している事が防除を難しくしている原因です。
図 ミカンキイロアザミウマの生活環(花がある場合) |
4)対策 ミカンキイロアザミウマの防除が難しい理由は主に次の3つです。
1.増殖率が高い。 したがって、対策のポイントは ・初期発生を見逃さない 最初に進入してくる出入り口付近、側窓付近、天窓下や、他より開花の早い花を注意深く観察する。粘着トラップを発生しやすい場所に仕掛け観察する。 ・薬剤散布後は必ず効果確認 もし効果がなければ、薬剤の種類を変えて再散布し対応する。 ・追いまき散布の実施 農薬散布時に卵や蛹であったものは農薬がかからないため、4、5日後に追いまき散布を実施する。 ・ローテーションの実施と散布間隔の調整 開花期に多発しそうな場合5-7日間隔で散布する。それ以外は10-14日間隔が望ましい。また抵抗性の発達させないため同一薬剤を絶対連用しない。 ・不要な花、周辺雑草の除去 東海以南では、ミカンキイロアザミウマの露地雑草での越冬が確認されています。 ・1mm目以下の防虫ネットならびに反射マルチで飛来防止 ・栽培終了後の蒸込みあるいは土壌消毒 土壌中に残った蛹を死滅させます。蒸込みの場合、夏は7-10日、春秋は約2週間必要。 |
相手の生態を頭に入れて、総合的な戦略で防除すれば、これまで以上に効果的な防除ができるはずです。
(2012年1月6日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] |
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今回は栄養系品目の種苗を供給する者にとってウイルス検定、ウイルスフリー母本管理が重要なわけを説明したいと思います。 1)ウイルスとは ウイルス病の病原であるウイルス粒子はタンパク質の殻の内部に核酸(RNAまたはDNA)を持ち、大きさは30-200nmと非常に小さく、電子顕微鏡を利用しないと観察できません。またウイルスは自分自身では増えることができないため、動物や植物などの細胞に寄生し増殖します。そのため寄生した植物がすぐに死んでしまうことはウイルスにとっても不都合なことであり、ほとんどのウイルスは進化の過程で植物を生かさず殺さず上手に寄生して生き残ってきました。この関係を絶対寄生性といいます。
100万倍の世界 実は同じウイルス種でも感染する植物によって病徴は異なることが多く、感染してもまったく病徴を示さない植物種もあれば、劇症になる植物種もあります。また品種間でも病徴に違いが確認されています。 防除の面では、ウイルスは細胞内で増殖するため、ウイルスだけを殺すことは非常に難しく、感染させないこと、感染した植物を増やさない事、適切に廃棄することが最大の防御となります。 |
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写真 ペチュニア4品種の主要ウイルスに対する反応(接種2週後)
2)病徴を示さないウイルスが感染していても問題ないか? 感染していても病徴を示さないケースを無病徴感染といいますが、実はこれが一番厄介なのです。その植物はウイルスが感染していても外見上まったく見分けがつきません。しかしそのウイルスが違う植物種や品種に感染すると劇症を引き起こすことがあるからです。 たとえば、ナス科のペチュニアでは100種以上のウイルスが感染することが分かっています。そのうちペチュニア自身に病気を引き起こすウイルスとして日本で報告されているのは5種のみです。ペチュニアで病徴を示さないウイルス種もたくさんあり、感染していても外見からはまったく健全に見えますので、気がつかずに栽培してしまい、他の植物にウイルスを広げてしまう可能性が高いのです。ペチュニアでは病気として報告されていないウイルス種の中にはトマト、タバコ、ジャガイモなどに病気を引き起こすものが含まれているのです。 |
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3)感染しても病徴を示さないウイルス感染をどうやって調べるのか? 具体的には以下のような方法があります。
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4)効率の良いウイルス検査方法は何? エライザ法と生物検定の組み合わせが一般的です。なぜ生物検定も必要なのか?それはエライザ法で調べることができない広範囲のウイルス種を検出ことができるためです。 品目によって感染するウイルス種は異なります。種苗を供給する者は、扱う品目ごとに無病徴感染するウイルス種も含め、感染するウイルス種すべてを知っておくことが重要です。 |
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5)栄養系品目を取り扱う際の危険性について 挿し芽、組織培養、球根、塊茎で種苗を増やすことを栄養繁殖といいます。栄養系品目では、もし元株がウイルスに感染していれば、ウイルス感染植物を栄養繁殖で増やしてしまうことになります。その苗を日本全国、または全世界に供給してしまうと、生産者に大きな損失を与えてしまいます。 もちろん故意にそのようなことをする人はいないと思いますが、問題は無病徴感染植物です。感染していることに気づかずウイルスを広げてしまい、そのウイルスが激しい病徴を示す植物と出会って問題が発覚するのです。 |
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6)最後に 全国に苗を供給する弊社はできる限りこのような問題を起こさないよう対策に努めています。しかし、それだけでは不十分です。生産者の方も次のような注意が必要です。
(2011年12月9日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||
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植物の病気とは絶え間ない刺激により、植物の生理機能が乱されている状態を言います。 広義には植物の生理障害全般を指し、そのなかに病原の感染による伝染性の病気、環境の不適合等による非生物性、つまり非伝染性の生理障害があります。植物病理学において伝染性の病気のみを狭義に「植物の病気」と扱っていますが、営利栽培上は非伝染性の生理障害であろうと、原因を特定し対応しなければなりません。 そこで病気の現場では、まず伝染性か否かを見極めることが第一歩になります。 |
表:植物の病気のおもな病原
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伝染性の病原にはウイロイド、ウイルス、原核生物(ファイトプラズマ、細菌)、菌類、線虫等が知られています。つまりいろんな微生物が植物の伝染性病原になりえます。また土壌病原菌による根の障害でもウイルス病のような葉の黄化や矮化症状を引き起こすことがありますので、ウイルス病のように見えても植物全体、地下部まで観察が必要です。 実は伝染性病害の8割が菌類いわゆるカビによって引き起こされていると言われています。但し、ウイロイドやウイルス等を除く多くの微生物は植物に病気を起こさない腐生性の微生物つまり分解者です。腐敗した組織から菌類や細菌または線虫が確認されただけで、それらが植物の病原であったとは言いきれないことは頭にいれておく必要があります。 そのため、植物病理学における病害診断では病気にかかった植物から病原と思われる微生物をいくつか分離し、健全な植物に接種を行い、本当に病気を再現できるか確認するという作業(コッホの4原則)を大切にしています。 但し、病害の現場ではコッホの4原則を用いた精度高い診断よりも迅速な対応を求められることが多々あります。それには初期症状や症状の広がり方、周辺植物の状況や栽培環境などの情報が重要で、これらの情報を吟味しつつ、罹病部より観察された微生物のどれが主因(病原)か推測することで、診断精度を高めます。 病原微生物が何かわかれば、それに効果がある農薬などで消毒する──と安易に考えがちですが、病害対策をする上で一番重要な事は、その病原微生物がなぜ増えてしまったのか?という原因を考えることです。それには植物に携わる人自らが植物病理学の基礎を学び、その原因を考える力を身に付けることが、一番だと思います。
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植物病理学の基礎的な力を身に付けるには大阪府立大学の大木 理教授が書かれた「植物病理学(東京化学同人)」がわかりやすくお勧めです。(2011年7月15日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] |
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戦後から高度経済成長期の日本は、農業の生産効率を高めるため、農薬・化成肥料に大きく依存した農産物生産を行ってきました。しかし、農薬や化学肥料による自然環境へのダメージ、人や家畜への影響が明らかになり、近年、食用作物を中心に減農薬栽培や有機栽培が見直されてきています。 但し、単純に減農薬栽培を行えば、病虫害が増えて減収になるのは目に見えています。そこで病虫害を防ぐ方法は農薬だけではない、ということをお話ししたいと思います。
最初に質問です。 ●植物が病気になる時の条件を説明できますか? 答えは1.病原菌がいて、2.そこに病気になる植物がある。3.さらに病原菌が植物に感染できる環境条件があって、植物は病気になる、これを植物病理学では「発病の3要因」といいます。そう言われると当たり前と思いますが、案外そういう目では病気を見ていない人が多いのが現状です。病害防除を考える上で最も基本となる考え方です。特に栽培に携わっている方は知っておいた方がよいでしょう。 ●病気に対して殺菌剤等の農薬散布以外の対応方法は? 薬剤のみに頼った防除法では耐性菌が出現すると病気を完全に防除できなくなってしまいます。実際、産地に出かけると、これまで特効薬だった農薬の防除効果がなくなり、病気による被害が増えて困っているという話をよく聞きます。 「発病の3要因」を頭に入れて考えますと、栽培環境の改善も病害対策になるということが理解できると思います。病気が多発する原因は栽培現場の環境にも問題があるはずなのです。 |
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栽培環境の変化が病害を引き起こした例の1つに、近年バラ栽培で問題になっているバラべと病(Peronospora sparsa)やバラうどんこ病(Sphaerotheca pannosa)があります。それらの病害は夜間の加温にヒートポンプを利用するようになってから増えてきています。ヒートポンプ導入によって病気が増えた原因のひとつとして、灯油や重油を燃料とする温風ボイラーよりもヒートポンプの風量の方が小さく、温室内に温度ムラが生じ、温度の低い場所で結露が発生するようになったことが挙げられます。つまり結露するような高湿度条件が、べと病菌やうどんこ病菌の感染を助長してしまったのです。対策として循環扇を使い、夜間の温室内温度ムラをなくすことで病害はかなり改善されたようです。このように発病の3要素のうち1つの要素でも欠けると植物は病気になりにくくなるのです。
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●病原菌のいないクリーンな環境での栽培は本当に安心といえるか? 土を使用せず、室内で人工照明を使い、水耕栽培や養液栽培をすれば病気の心配はないと思いますか? 実は、土で栽培する以上に病原菌を持ち込まないように神経を使わなければなりません。なぜなら病原菌の競争相手となる微生物が少ない環境では、もし病原菌が侵入し、さらに好適な環境条件が重なってしまうと、そこは病原菌にとっての楽園となってしまうからです。そのため植物工場では病原菌の侵入を防ぐため白衣着用、靴の消毒等が必要となるのです。 つまりクリーンな植物工場を運営するにしても、病原菌に対する知識は重要となります。 ●病気と闘うには敵を知ることが重要 もし、困っている病気があり、それを克服するため栽培環境の改善を試みようと思うなら、まずはその病気を引き起こす病原菌について熟知する必要があります。病原菌の生活環や、胞子発芽や感染条件などの感染好適条件、伝染様式(空気、水、土、刃物)、を知ることで栽培環境の問題点が見えてくるはずです。 「役立つ病虫害の話」のこれまでの記事にも、病原菌の情報を載せているものもありますので、それぞれの病気の記事をもう一度読んでみることをお勧めします。 最後に、花き類では抵抗性品種はほとんど開発されていませんが、品種によって病気になりやすさに違いがあります。総合的なアプローチで病害対策を行っても改善できないような病気に弱い品種は栽培を避けることも対策の1つです。(2011年5月13日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] |
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タバコモザイクウイルス(TMV)は広範囲な植物に感染し、土壌伝染・種子伝染もする厄介な植物ウイルスの1つです。野菜類のトマト、ピーマン等では抵抗性品種が育成されて、被害は少なくなってきましたが、抵抗性品種を打破するTMVが出現することもあり、完全に問題が解決したわけではなく油断は禁物です。 しかし、花き類においてはもっと深刻で、TMVも含めウイルス病抵抗性品種がほとんど開発されておらず、ウイルス検定やウイルスフリー苗生産体制、ウイルスに関する知識などが非常に重要になってきます。 花き類でTMV感染が報告されている品目はペチュニア、ガーベラ、ジニア、ユリ、ジンチョウゲ、ラン類などで、これらの品目を取り扱う方は是非TMVに対する知識と対策について勉強しておいてください。 まず TMVの症状を知っておくことが重要となりますが、TMVが感染すると明瞭なモザイクを生じる以外に、葉や茎にえそを生じることもあります。 弊社でも試験的にTMVをペチュニアに汁液接種しその病徴を調査していましたが、品種によって症状が違うことを確認しています。
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写真 TMV汁液接種2週間後のペチュニア |
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TMVが属しているトバモウイルス属には、TMVに近縁なトマトモザイクウイルス(ToMV)、キュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)、ペッパーマイルドモトルウイルス(PMMoV)があります。それぞれ、トマト、キュウリ、ピーマンにモザイク病を引きおこします。以前はこれら全てのウイルスをすべてTMVと呼んでいましたが、現在は分類の基準が変わり別種として扱われています。これらのウイルスはウイルス粒子の物理的安定性が高い、土壌伝染性、汁液伝染性、接触伝染性、種子伝染性を有するなど、共通した特性を持っています。また非常に多くの植物に感染が報告されており、一度感染が広がると栽培施設をウイルスで汚染してしまいます。TMVが防除の難しいウイルス病と言われる理由です。 |
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●伝染源と対策: TMVは幅広い植物に感染するため周囲の雑草や花、野菜などが感染源となる可能性があります。罹病植物に触った手やハサミなどを用いた管理作業でも容易にウイルスが広がります。TMVは物理的に安定したウイルスで、農業資材や設備に付着したウイルスや罹病植物の根から放出された土壌中のウイルス粒子からの感染、罹病植物から作られた堆肥からの感染にも注意が必要です。 対策としては
弊社が供給する種苗はこのようなトバモ属ウィルスを含めウイルス検査を実施し、ウイルスが検出されなかった親株から生産しています。しかしウイルス病を蔓延させないためには、いろんな経路でウイルスが持ち込まれる危険性があることを理解し、対策を講じることが不可欠です。 |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||||||||||||||
植物に関わる仕事をすると、どんな品目でも病気の問題に直面します。 花き生産をされている方はもちろん、新品種育成、苗生産、展示試作などの弊社の業務でも、病気で困ることがあります。 病気の被害を最小限に抑えるためには迅速かつ正確な病害診断が重要になってきます。 植物病理学の豊富な知識と診断経験を持つ人でも、診断のために必要な発生状況等の情報や適切なサンプルが手に入らないと、原因の特定ができないことも結構あります。 そこで、病害診断依頼はどのようにすればよいか、お話したいと思います。
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●診断依頼の方法について
望ましいのは4の依頼をして専門家に現場へ出向いてもらう事ですが、植物病害診断の専門家が少なくなってきており、時間的・労力的制約の中でこのような対応ができなくなってきています。 そこで重要なのが、診断依頼先に新鮮な全体サンプルを送付すること、合わせて病気の発生状況などの情報を正確に伝えることになるのです。 |
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●診断にはどんな情報が必要か
診断に必要な情報を1-10まで上げましたが、それぞれの項目を発病の3要素と関連付けると図のようになります。迅速な診断は、発病状況から病名の仮説を立て、情報が仮説を立てた病気の3要素と一致しているか検証していくといった手順で行われます。 だから病害サンプルと一緒に上記のような情報があると、かなり正確な診断ができます。お近くの専門機関に相談する際は、情報をまとめた上で診断依頼されるとよいでしょう。 ここまでしてもわかりにくいのが生理障害です。これを解明するには植物病理・土壌肥料・栽培分野の専門家の連携が必要だからです。私も社内のいろいろな部署の担当者に相談しています。 なお、近年、特定の病気を検査する診断技術として植物分野でも抗体検査や遺伝子診断法がめざましい進歩を遂げています。この技術は日本への進入を阻止したい特定病害に対する植物検疫や弊社の生産するウイルスフリー、ウイロイドフリー苗の検査方法として、有効な手段になっています。 しかしこのような検査方法も特定の病気しか検出できず、病害診断として万能とはいえません。幅広い病気の知識を持つ人に相談することが大切になるのです。(2010年11月26日) 注: 最も精度の高い診断は、罹病組織から病原菌の候補を分離し、健全な植物に接種し、同じ病徴が再現されること確認し、再度分離を試み同じ病原菌が分離されることを確認して、その病原菌の種を特定するというコッホの原則を用いて診断する。しかし、時間がかかり、迅速な対応が取れないという欠点がある。 |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||||||||||||||
1年目はうまく栽培できたのに、2年目以降うまくいかないという経験はないでしょうか?
微量要素のアンバランスや塩類集積は作物の養分吸収特性に合わない施肥を続けたためであり、生理障害や作物の病虫害抵抗性低下の原因になります。この対策は土壌診断の実施と、適切な施肥設計です。 病原菌、害虫増加の原因は病原菌や害虫の競争相手である多様な微生物が減少し、生態系が壊れてしまったことが原因です。多くの切花品目は連作が当たり前になっていますが、そのためには多様な微生物が育つ土壌環境を整える必要があるのです。
●有機物投入と病害防除効果 有機物とは生物由来の有機化合物を意味します。落ち葉やワラ、家畜の糞尿などが該当しますが、これを土壌に投入すると微生物は急激に増加します。しかしすぐに病気が発生しにくい土壌になるわけではありません。有機物が分解し始める最初の段階では、低分子糖類やアミノ酸を好む植物病原菌も増えるためです。実は植物病原菌も植物や有機物を分解する微生物の一員です。しかし病原菌は生きた植物にも侵入できる能力を身に付けているので病気を引き起こすのです。有機物の分解が進むと、やがて難分解性のセルロースやリグニンを分解するキノコ類や放線菌の割合が増え微生物の種類も多様化し、病原菌にとっては好環境ではなくなります。発酵が完全に進んだ完熟堆肥の使用を勧められると思いますが、このような理由があるのです。
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●有機物投入の注意点は
もう10年も前の話ですが、長野県でのスターチス7月定植作型では高温時期の定植のため、萎凋細菌病が深刻な問題になっていました。しかし、私が知っている生産者の中に、土壌消毒なしでも、まったく萎凋細菌病を出さずに切花生産を続ける方がおられました。 その生産者の方は毎年、完熟の牛糞堆肥混合バーク堆肥を10アール当たり6トン(その地域の施肥基準は2-3トン)投入し続けておられました。今を思うと豊かな土壌微生物が病気から植物を守っていたのかもしれません。( 2010年9月24日 ) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||
7-9月の高温期に発生する生育不良や立ち枯れなどの連作障害は植物病原菌による土壌病害が原因であることが多いようです。特に土壌中に生存する病原性のFusarium、Rhizoctonia、Pythium、Phytophthoraなどの糸状菌(カビ)やRalstonia Burkholderiaなどの細菌が土壌病害として良く知られている植物病原菌です。土壌病害を引き起こす病原菌は土壌を介して感染するため、空気伝染性の病害と違い、薬剤散布の効果は低く、発生すると被害は大きくなり難防除病害として問題となっています。
なぜ土壌病害が発生してしまうのか?考えられる原因は
1.伝搬方法
2.土壌の微生物の種類の単純化
3.伝搬方法
4.土壌消毒後、微生物が回復する前の定植
5.靴・耕運機などによる病原菌の伝播
土壌病害対策として重要なのは、発生原因となるものをできるだけ取り除くことです。 以下が対策の具体例です。
●土壌の微生物の種類の単純化
●土壌消毒後、1ヶ月以内の病原菌持ち込みを厳重注意
●有用微生物資材を活用して、土壌中に有用菌を増やす
●地温ができるだけ発病条件にならないように管理する
土壌病害対策のポイントは土壌微生物と植物病原菌について理解し、健全な土作りを始める事が第一歩です。(2009年10月23日) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||||||
ウイルス病は菌類によって引き起こされる病気と違って、一旦感染すると、薬剤散布での治療が難しい病気です。ウイルスは遺伝情報を担う核酸とそれを覆うタンパク質からなる極小の生物で、宿主の生体機能を乗っ取り増殖します。そのため植物に影響がなく、ウイルスだけに効果のある薬剤の開発は非常に難しいのです。 ではウイルス病の感染が広がっていく要因は何でしょうか?
大きくこの3つがあげられます
■感染源を取り除く まず感染源についての対策は、まったく病徴を示していない周辺の雑草や他の作物が感染源になるケースが多く見られます。雑草はウイルスに感染しても生育不良や枯死を起こさない抵抗力のあるものが自然界で生き残っているので、ウイルス病に強くなっています。しかし、ウイルス病に強い雑草というのはウイルスに感染しないのではなく、感染しても病徴示さずウイルスを保毒しているケースが多く、感染源となる危険性がありますので、栽培施設周辺の除草は作物のウイルス対策の基本となります。
■感染経路を断つ 次の対策は感染経路を断つ事です。しかしウイルス種によって感染経路が違うので、何を介してウイルスが感染するのか知らなければなりません。
■ウイルス抵抗性・耐病性品種とは 最後に最も効果的と思えるのはウイルスに感染しない抵抗性品種を使うことなのですが、花の品種ではウイルス抵抗性品種は多くありません。病徴を示さない程度にウイルスの増殖を抑える耐病性品種は存在しますが、耐病性品種では他の植物にとって感染源となってしまう可能性があることを頭に入れておかなければなりません。
まず問題としているウイルス病はどのような症状を示し、どの植物に感染し、どんな手段で感染して広がっていくのか、知ることがウイルス病対策の第一歩です。(2009年8月28日)
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[ TEXT:森本 正幸 ] |
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今回はオランダのグループ会社で、キク、カランコエを中心とした育種・種苗生産を展開しているFIDES社(フィデス)の『優良苗育成システム』についてご紹介いたします。
■システムの概要は以下になります。 1.有望品種・系統の選抜、育成
このように有望な品種が育成されてから、約1年間を要して苗の生産がスタートします。健全な挿し穂苗の生産は、品種の育成と伴に私達の事業の両輪となるものです。これからも早く・確実な病害診断技術の向上に取り組み、安心してご利用できる高品質の苗をお届けできるよう、そして美しいお花をご覧いただけるように、努力を続けていきます。(2008年12月9日) |
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| [ TEXT:工藤 博司 ] | ||||||||||||
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