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| ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。 |
| バックナンバーの情報につきましては、発表当時の内容をそのまま掲載しております。文中の農薬に関しましては必ず最新の登録状況をご確認ください。今まで使っていない農薬を使用する場合は、お近くの種苗専門店や農協、公共機関ともご相談ください。 |
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すべてのキクはすでにウイロイドを保毒しているのでは? という話を聞いたことがあります。それはウイロイド感染が知らない間に広がり、感染させたという実感がないことが原因だと思います。 しかし、欧米の種苗会社が供給する苗をウイロイドが増えやすい高温長日下で栽培しつづけた後、感度の高い遺伝子診断を行ってもほとんどウイロイドを検出することができません。つまり欧米の種苗会社はウイロイドフリー苗生産技術を持っているということです。 今回はキク矮化ウイロイド病について少しでも理解を深めてもらいたい、という思いを込めて、私が色々勉強したことを紹介したいと思います。 1)キク矮化ウイロイドはいつ世界中に広がったのか? The American Phytopathological Society(アメリカ植物病理学会)の『The Disease Compendium Series』を読んでみると、「1950年代にはアメリカ国内およびオランダ、1970年代までにはヨーロッパ各国に次々と広がり、キク切花生産に大きな損害を生んだ。」とありました。戦後、日本から持ち帰ったキクからキク矮化ウイロイドが世界に広がったと予想できます。 欧米の数少ない種苗会社が集中的に苗を生産し、その苗を世界中に販売した。その生産現場がウイロイドで汚染されていたため、世界中に感染が広がったのです。 このような苦い経験から欧米の種苗会社が苗生産体系を見直し、現在では、欧米種苗会社か管理する苗からキク矮化ウイロイドが検出されることはほとんどなくなりました。 1950年度以降、なぜウイロイドが容易く広がったのか? 種苗の流れも世界規模になったことに加え、キク矮化ウイロイドの特性を知ると良くわかります。 2)キク矮化ウイロイドの特性 ●キク矮化ウイロイドはタンパク質を持たず、非常に分解されにくいRNA分子である。 ●感染個体の汁液は 以下の条件でも感染性を保持している。 ・10000倍に希釈 ・100℃で10分間ボイル ・3℃で100日間 ・21℃で60日間 ・氷結状態で120日間 ●葉全体を100%エタノールに2日間浸けても、感染性を保持する。 ●バッファーで抽出し、超音波処理を15分行っても感染性を保持する。 ●第三リン酸ソーダ、ホルマリンでも、すぐに感染性を消失させることができない。 つまり低濃度でも感染し、非常に分解されにくいという特性を持つために、非常に強い感染拡大力を持つと言えるでしょう。 3)伝搬方法は ・汁液伝染、接木、萎れによる接触、根の絡み癒着、種子伝搬 ・採穂・ピンチ作業・花芽詰み・パッキング・輸送などの作業で汚染された人の手、刃物、作業台などで感染。 4)感染から発病 ・キク矮化ウイロイドは通常、局部病徴(斑点、シミ、ちぢれ)を示さない。 ・キク矮化ウイロイドを葉に接種すると35-45日で接種葉から茎の方に移動し、全身感染までに4ヶ月かかる。 ・それゆえ感染したばかりの植物から切花を切ることに影響はない。 しかし、健全に見えるその感染株を次の増殖母株とすると問題が発生する。 5)防除・対策 ・信頼できる種苗業者からのウイルス・ウイロイドフリー株を親株に使用し、定期的に更新すること。 ・作業前と後は必ず手を洗い消毒すること。(持ち込まない・持ち出さない) ・管理区分を設け、区分ごとに確実な器具および手の消毒を実施すること。(拡散防止) 【器具の滅菌法】 火炎滅菌や1%以上の次亜塩素酸ナトリウムが有効 キッチン消毒用のブリーチ(商品名)は次亜塩素酸ナトリウムを5%含んでいます。 【手の消毒】 素手なら石鹸の使用と十分なすすぎを。使い捨てビニール手袋も利用できる ・土壌消毒時は残渣をできるだけ取り除く。消毒後は土壌水分を保ち、残った残渣を腐敗させる。 |
最後に 以下の写真は、ウイロイドを感染させた株と未感染株の品種による違いの写真です。 両品種とも接種区は接木接種で感染させた株(遺伝子検査で感染を確認済み)から採穂し、発根させた苗を定植後、24日目(2011年8月1日現在)のものです。
ウイロイドを感染させた株と未感染株の品種による違いの写真 |
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品種Aの接種区では、未接種区に比べ明らかに立葉になっています。品種Bでは接種区と未接種区に明らかな差がみられませんでした。品種Bは品種Aにくらべキク矮化ウイロイドに耐病性があると言えそうです。 しかし品種Bもウイロイドに感染しているわけで、感染源になる可能性が大です。つまり耐病性品種ではウイロイド問題の根本的解決にはならず、種苗会社として最も重要なのはウイロイドフリー苗を供給できる体制なのです。(2011年8月12日)
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| [ TEXT:森本 正幸 ] |
キクを連作していると年々生育不良や不揃いが増え、慢性的な被害に悩まされている方が意外と多いようです。 フザリウム、リゾクトニア、バーテシリウムなどの土壌病原菌が原因となることもありますが、土壌中の植物寄生性線虫が根を加害することでも、生育障害が発生します。そこで今回はネグサレセンチュウによって引き起こされる病害について紹介いたします。
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| 写真 ネグサレセンチュウ診断 A:生育の不揃い B:根の褐変 C:根先端部の褐変 D:根褐変部や根圏付近の土壌を観察 E:根褐変部からのネグサレセンチュウ | ||||||||||||||
キクに寄生するネグサレセンチュウはハリセンチュウ目、プラティレンクス科のPratylenchus penetrans(キタネグサレセンチュウ) やPratylenchus fallax(キクネグサレセンチュウ) が知られています。キクネグサレセンチュウは形態的にはキタネグサレセンチュウと極めてよく似ています。 ネグサレセンチュウの成虫の大きさは0.5mm程度、雌雄ともウナギ型です。幼虫・成虫ともに根に侵入することができます。主に根部の皮層部に侵入し、口針を使って根を加害します。 ネグサレセンチュウは随時組織内を移動し摂食を続け、組織を崩壊・壊死させます。その加害部には腐生菌(注1)や土壌病原菌が二次的に繁殖するので、被害を増幅させます。卵は組織内にばらばらに産み付けられるが、腐敗組織はセンチュウに忌避作用を示すため、健全部を次々と侵していきます。1匹の雌は200個程度産卵します。つまり根が加害されるために地上部の生育に影響がでるのが、ネグサレセンチュウによる病害です。 注1:腐生菌とは 生きていない有機物素材を栄養源として生活する菌類を言う しかし、土壌中に生息するセンチュウには土づくりに欠かせない重要な存在である自活性センチュウも含まれています。自活性センチュウは落ち葉などの有機物を食べて分解し、土壌の腐食を増やし、土を柔らかくして根の張りやすい環境を作っています。作物にとって有害な植物寄生性センチュウを食べる、捕食性センチュウもいます。肥沃な土なら10アール当たり800kgもの自活性センチュウが生息していると言われており、その数が多い土壌ほど植物を加害するネグサレセンチュウが増えにくくなるとの事です。 ネグサレセンチュウと自活性センチュウを顕微鏡で見分けるのに、農業環境技術研究所のデータベースが役に立ちます。以下がそのサイトです。 http://www.niaes.affrc.go.jp/inventory/nemapics/
●発病しやすい条件: 施設栽培では年中発病しますが、ネグサレセンチュウの発育適温は地温20〜25℃です。ネグサレセンチュウが好む作物を連作すると発病しやすくなります。有機物が少なく痩せた土壌では拮抗作用を示す微生物が少なくなるためネグサレセンチュウが増加しやすくなります。
●診断のポイント: いくつか根を掘り上げて根の褐変状況を確認する。 根や根圏付近の土壌を採取しネグサレセンチュウが分離されるかどうか顕微鏡を使って確認する。 但し、自活性センチュウと形態を見分けることが必要である。
●伝染原と対策: キタネグサレセンチュウは多犯性で、ダイコン,キャベツ,ハクサイ,ニンジン,フキ,ゴボウ,シソ,スイカ,カボチャなど寄生できる植物は350種以上に及ぶことが知られています。地下50㎝の所にも存在でき、寄主作物が作付けされると移動して根に寄生・加害します。土壌中では寄生できる植物がなくても、3年近く生存すると言われています。 |
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対策としては
最後に、ネグサレセンチュウ対策にも土作りが大切です。有益な自活センチュウがたくさん存在する微生物相の豊かな土壌では、植物寄生性センチュウが増えにくいという情報もありました。やはり、有機質が少ない痩せた土壌はライバルとなる自活センチュウも少なく、植物寄生性センチュウにとっては楽園のようです。 (2010年10月29日) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||||||||||
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日本は6月から約1ヶ月半、また季節が変わる9-10月も雨量が多くなる時期です。このような時期はさまざまな病気が発生しやすくなります。葉枯れ症状に対して殺菌剤散布をしても効果がないなど、何の病気か頭を悩ませることはないでしょうか。
そこで今回は葉枯れ線虫といわれるAphelenchoides ritzemabosiやAphelenchoides fragariaeによって引き起こされるキク葉枯線虫病について御紹介します。
写真 キク葉枯れ線虫病 A: 葉枯れ症状が見られる植物全体 B: 茎には症状がないC: 葉脈に沿ったV字型病斑
●発病しやすい条件:
●診断のポイント:
●伝染原と対策:
対策としては
いくつかの手段を総合的に組み合わせて対策してみてください。きっと防除効果が期待できます。なお、ウイルス病、かびによる病害とは対処も異なってきますので、「下葉からV字型の葉枯れが進む」等の異変に気づいた場合には専門の機関に調査を依頼されることをお勧めします。 (2010.6.25) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||
ピシウム菌(Pythium)は卵菌綱、フハイカビ目、フハイカビ科に属する菌で、ちなみに疫病を引き起こすファイトフトラ菌(Phytophthora)も同じフハイカビ科に属する菌になります。卵菌綱の特徴は細胞壁の主成分がセルロースでフザリウム菌(Fusarium)リゾクトニア菌(Rhizoctonia)などの菌類(細胞壁はキチン)と分類上大きく異なり、防除効果のある農薬にも違いがあります。
●発病しやすい条件: 多湿・排水性が悪く水がたまりやすい圃場で多発しやすい。また直挿し栽培でも発生しやすい。発病適温は25-35℃で真夏の高温期でも発生しやすいので注意が必要です。
写真 キクピシウム立枯病 A:立枯病が発生した圃場(定植2週間目) B:立枯れを起こしたキク C:茎の腐敗部に形成された遊走子のう(400倍) D:遊走子(600倍)>>動画(YouTube)http://www.youtube.com/watch?v=zUffFNaX304
●診断のポイント:
●伝染原と対策:
●対策としては
事前の土壌消毒が重要で、地際部茎の褐変あるいは株全体の萎凋が見られたら,すみやかに株を処分することが大切です。 (2010.5.28) |
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| [ TEXT:森本正幸 ] | ||||||
今回はTomato spotted wilt virus(TSWV)によって引き起こされるキクえそ病について紹介いたします。キクのTSWVによるえそ病の発生は1993年に静岡県で初めて確認されましたが、TSWVの国内初感染はもっと早く、1970年にダリアで報告されていました。
■発病しやすい条件: 本病は感染しても無病徴の品種もあり、この親株から自家育成し続けると感染が広がる場合があります。キクの切花産地では一度発病すると、アザミウマ類を媒介して色々な植物に感染するため撲滅するのはきわめて難しいウイルス病です。
写真 TSWV感染の典型的な症状がみられるキク A:株全体の葉に退緑斑が見られる B:退緑斑の中に輪紋がみられる C:えそ条斑を伴った病徴で葉の湾曲が見られる
■診断のポイント:
■伝染原と対策: キクえそ病の病原ウイルスであるTSWVはアザミウマ類を媒介昆虫として多くの野菜と花卉、雑草にも感染します。それが次の伝染源となってしまいます。また自家育成している親株が感染源の可能性もあるので、注意が必要です。
あなたの圃場は大丈夫ですか?TSWVからの被害を最小限に抑えるためには、総合的な視点からの対応が必要です。 (2009年11月20日) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||
前回に引き続き、キク白さび病についての話題です。白さび病(英名 White Rust *1 )はキクの重要病害で、世界中のキク生産地でその発生が見られます。そして、キク生産の中心地域であるオランダでは、この白さび病が日本からキクの品種と伴に伝播したことから、『Japanese Rust ジャパニーズ ラスト』と、少々ありがたくない名前で呼ばれています。 *1:Rust(ラスト)とは、さび病のことです。
図1:キク白さび病の病徴 今回はこの白さび病に対する抵抗性品種を見極める方法として開発された、DNAマーカー *2 を用いた効率的な検定システムをご紹介します。 *2:DNAマーカーとは、特定のDNA領域のことです。
■キク白さびの発病 白さび病はPuccinia horiana Henn. というカビによって発生し、葉の表側に淡緑色の斑点、裏側に次期伝染源の胞子を作る冬胞子堆と呼ばれるイボ状の斑点を形成します(図1)。少量の発生でも商品価値を損なうことから経済的被害が大きく、キク生産では最も恐れられている病害です。このため抵抗性品種の作出が強く求められています。
■生物検定による抵抗性品種の検出 現在、抵抗性検定としては、冬胞子堆で形成される感染源(小生子)を植物体に接種し、その発病程度を確認する生物検定が一般的です。 図2はこの一例ですが、病徴が見られない品種H、Iが抵抗性品種と判定されます。 しかし、1品種で複数の検定用植物が必要、検定数に限界があること、そして判定まで約3ヶ月を要することなど、様々な問題が伴いました。
■DNAマーカーによる検定システムの開発と利用 新たな検定システムの概要は、DNAマーカーによって抵抗性遺伝子と連鎖するDNA断片を確認するものです。開発にあたっては、抵抗性と罹病性(病気にかかる品種)を交雑した後代の中から、抵抗性と罹病性の個体を選定し、その特定領域のDNA配列比較によって抵抗性と強く連鎖するDNA断片(DNAマーカー)を明らかにしました(図3)。 このDNAマーカーを用いたシステムにより、少量サンプルかつ2日程度での効率的な白さび病抵抗性品種の検定が可能になりました。 DNAマーカーによるキクでの検定システム実用化は世界初の取り組みで、業界では大変注目されており、抵抗性品種開発の加速が期待されます。
弊社では、今後もキク白さび病のような花きの主要病害に対する抵抗性品種の開発に取り組むとともに、健全で高品質な苗をご提供できる体制を強化していきます。
図2:キク白さび病抵抗性品種の選抜
図3:DNAマーカーによる抵抗性DNA断片の特定例
(2009年7月24日) |
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[ TEXT:工藤 博司 ] |
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キク白さび病は主として葉部に発生し、著しく切花キクの商品価値を低下させるキクの重要病害で、担子菌類に属するパクシニア ホリアナ(Puccinia horiana Henn.)という糸状菌によって引き起こされる病気です。夜間の湿度が高くなりやすい時期に多発し、夜間の相対湿度の低くなる冬季の施設栽培、梅雨明けから8月末の高温になる時期は発病が少なくなります。
A:感染から13日目 B:罹病葉の表側 C:罹病葉の裏側 D:冬胞子堆 E:冬胞子堆をピンセットでつまみとり顕微鏡観察 F:冬胞子堆の拡大 ■症状: 本菌の発病適温は20度前後の温度で、この条件では感染してから7〜10日後に直径1mm程度の乳白色の小斑として現われ始め、さらに4〜7日後には葉裏に冬胞子堆を形成し始めます。病斑が多数形成されると、葉が変形し巻き上がり、株の生育が抑えられることもあります。
■診断法: 葉表面から円形・白黄〜黄色の斑点が見え、その反対の葉裏側に灰白色から灰褐色、黄褐色(水分が多い場合)の冬胞子堆が確認されれば、白さび病と判断できます。大きな冬胞子堆のまわりには小さな冬胞子堆が輪のように生じることもあります。 病斑は葉表面から見ると黒さび病と似ていますが、黒さび病では葉の裏の隆起が茶褐色〜暗褐色と黒っぽいため容易に区別できます。
■感染条件と防除対策: 20度前後の気温では罹病葉の葉裏側に形成された冬胞子堆に水膜ができるような90%以上の高湿度条件が6時間以上つづくと、冬胞子から小生子が形成されて飛散し、新しい葉に感染し始めます。また、気温が低い季節は、罹病葉に形成した冬胞子堆が、枯れ葉の状態になっても3〜4ケ月間小生子を形成し、感染能力をもつと言われています。
■対策については、
以上のことを考えて管理すると、かなり白さび病による被害を軽減できると思います。 また、農薬が効かない耐性菌が蔓延するのを防ぐためには同じ農薬を連用することを避けた方がよいでしょう。
文中にある農薬の登録状況は原稿を作成した時点のものです。使用に際しては、必ず登録の有無をご確認ください。今まで使っていなかった農薬を使用する際は、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関とも御相談ください。(2009年6月26日) |
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| [ TEXT:森本 正幸 ] | ||||||
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キクわい化病罹病株
電子顕微鏡写真。黒い輪がウイロイド
今回は、『ウイロイド』という最小の植物病原体によって引き起こされる、キクわい化病についてご紹介します。
キクわい化病: キク切り花生産地において、近年キクわい化病( Chrysanthemum stunt disease )の発生が大きな問題となっています。本病害に感染すると、草丈が著しくわい化症状(植物全体が小さくなる)を示し、正常の1/2〜2/3の長さとなります。そして開花も通常より早くなり、花も小型になることから、切り花としての商品価値を完全に失います。
病原体ウイロイド: この病原であるキクわい化ウイロイド( Chrysanthemum stunt viroid )は、1本鎖環状RNAからなる最小の植物病原体です。長さは約100nm(ナノメートル、1nmは1mmの100万分の1)で、一番小さいウイルスの10分の1程度の大きさです。 このウイロイドは、当初『ウイルス』の一種と考えられていましたが、病原体の外側を包むタンパク質を持たないことなど種々の性質が異なり、『ウイルス様病原体=ウイロイド』と命名されました。ジャガイモの病害(やせいも病)で初めてその存在が明らかになり、その後、キク、トマト、ホップ、ブドウ、カンキツなど複数の植物種で発見され、その感染状況が明らかになってきています。
キクわい化病の伝染と防除: 切り花生産に挿し穂を用いるキクの場合、一度ウイロイドに感染した母株から病原体を除くことは非常に困難で、感染した挿し穂が栄養繁殖によって容易に増えます。ウイロイドに感染すると、始めは外観が健全であるものの、一定期間を経て突如わい化症状を示すことが多く、目視による判断が容易でないことも発生を助長する一因になっています。また、温度変化など外的環境に強く、農薬も効きません。そして茎頂培養によるフリー化も現実的にはまだ改良が必要な状況です。 このため、防除方法としては、圃場でわい化症状あるいは疑わしい株を完全に抜き取り、葉・茎などの残渣を圃場に残さないことが大切です。また、ウイロイドは植物の汁液で伝染しますので、罹病株に使用した鎌、はさみは火炎殺菌などで必ず消毒しなければなりません。
ウイロイドを防ぐためには、ウイロイドに感染していない健全苗を安定生産し、それを供給していくことが大切です。これからも生産者の皆様に安心してお使い頂ける高品質苗の生産に向けて、努力していきます。(2009年2月27日) |
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| [ TEXT:工藤 博司 ] | ||||||
今回はキク茎えそ病(仮称)についてです。「キク茎えそ病(仮称)」は、90年代以降日本各地のキク産地で問題となっている、「キクえそ病」の病原ウイルスであるTomato spotted wilt virus (TSWV、トマト黄化えそウイルス)と同じトスポウイルスに属するものの、別種であるChrysanthemum stem necrosis virus (CSNV、キク茎えそウイルス)による新病害です。
発生状況: 伝染: キク茎えそ病はキクでの症状自体はキクえそ病と類似しており、あまり区別の必要性は無いかもしれませんが、病原ウイルスであるCSNVの宿主となる作物や雑草、その他諸特性がTSWVと大きく異なる場合には両者の区別もキクの栽培上も重要となり得ます。今後の研究が待たれます。 (2008年7月1日) |
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| [ TEXT:縄田 治 ] | ||||||
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