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役立つ病虫害の話
ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。
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バックナンバーの情報につきましては、発表当時の内容をそのまま掲載しております。文中の農薬に関しましては必ず最新の登録状況をご確認ください。今まで使っていない農薬を使用する場合は、お近くの種苗専門店や農協、公共機関ともご相談ください。
ガーベラうどんこ病について

 

ガーベラうどんこ病写真1

ガーベラうどんこ病写真2

 

10月頃ですが鉢で育てていたガーベラをふと見ると、葉にうどん粉をふりかけたような白い粉が・・・今回はガーベラうどんこ病についてお話します。

 

■症状と診断方法:
うどんこ病菌にはOidium属、Erysiphe属、Podosphaera属などに属する100種以上の種があります。中には色々な植物に寄生する種類もありますが、主には菌種ごとにそれぞれ違う植物に寄生します。ガーベラうどんこ病はPodosphaera  xanthii、旧学名:Sphaerotheca fuscaというカビによって引き起こされる病気です。この病原菌は多犯性でナス科、ウリ科、マメ科、キク科、ゴマノハグサ科などの多数の野菜、花卉類、ホトケノザやオナモミなどの雑草にも感染します。

初期症状は葉にうっすらとした粉状の斑点となって現われ、やがて葉全体に広がります。ガーベラでは他の作物のうどんこ病より真っ白くはならず、ほこりがかぶったようになるので、気がつかない場合も多いです。しかし多発すると葉はしだいに生気を失って黄化しますので注意してください。

 

■伝染源と対策:
病斑上に形成された分生子(胞子)が風によって周辺に広がり、感染が拡大します。
発病しやすい温度は20-25度です。露地では春から初夏にかけてと秋に発病しやすく、温室内は一年中発病する可能性があります。
露地で発生しやすい時期は施設周囲の雑草も感染源となる可能性があるため、特に注意が必要です。
株が枯死することはめったにありませんが、発病により生育が抑制されるため、発生初期からの防除をお勧めします。(2009年12月25日)

[ TEXT:森本 正幸 ]
 
ガーベラ 斑点細菌病について

 

今回はPseudomonas cichorii という細菌によって引き起こされるガーベラ斑点細菌病についてご説明いたします。

 

ガーベラ 斑点細菌病の写真

ガーベラ 斑点細菌病
A:初期症状 B:縁枯れに進展した病斑

 

症状:
初期症状は葉、葉柄に病斑が現れます。その病斑は不正形で暗色の水浸状斑であることが特徴で、後に暗色から黒褐色になってきます。この病斑はしだいに拡大し、病斑相互が融合して大形病斑となり、葉縁部に形成された病斑は葉脈に沿って進展、拡大してクサビ形病斑や縁枯れ症状を呈します。
発病適温は20〜28℃で、多湿条件になりやすい6〜8月頃に発生しやすく、また比較的冷涼でも、多湿条件になると多発しやすくなるので注意が必要です。

 

診断法:

よく似た症状にガーベラ紫斑病(Cercospora gerberae)、ガーベラ炭そ病(Colletotrichum sp.)などの菌類(かび)による病気がありますが、斑点細菌病の初期病斑は水浸状を呈すること、また、顕微鏡を使い病斑部に菌類の器官が存在しないことや、病斑組織から細菌があふれ出る現象を観察することで見分けることができます。

 

伝染源と対策:
この細菌はガーベラ以外にも多くの花卉や野菜類に発生し、葉枯れや斑点・腐敗症状を起こす多犯性の病原細菌で、多くのキク科雑草にも感染・発病します。感染した雑草が根圏土壌で越冬して感染源となることがありますので、注意が必要です。

対策としては伝染源となる雑草の除草、発病葉の葉かきなどが効果的です。

細菌病の場合、かび用の殺菌剤散布ではあまり効果がなく、銅剤や抗生物質くらいしか効かないので、薬剤散布は注意が必要です。(2009年3月27日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

 
ガーベラの「卵菌」による病害

 

あめ色に軟化腐敗した根写真
あめ色に軟化腐敗した根
(発病初期〜中期は白色の健全根も混在)

 

黒褐色に変色した地際茎写真
黒褐色に変色した地際茎

 

 

「疫病」や「根腐病」は、Phytophthora(フィトフトラ)属菌やPythium(ピシウム)属菌という卵菌というグループに分類される病原によって引き起こされる様々な植物種での病害の名称として主に用いられています。当ホームページでも既に他の植物種で紹介していますね。
卵菌の仲間は、例えば灰色かびや麹かびといった菌類とは大きく異なる特徴を持つことから、現在では分類上区別して位置づけられています。疫病や根腐病など「卵菌」による病害にほぼ特化した効能を持つ農薬が存在するのも他の「カビ」との大きな違いによるものと思います。

ガーベラでも「疫病」「根腐病」と呼ばれる病害があります。病原菌の種は異なるものの、ガーベラの場合はいずれもPhytophthora(フィトフトラ)属菌が病原とされています。
ガーベラ疫病(Phytophthora nicotianae
ガーベラ根腐病(Phytophthora cryptogea, Phytophthora megasperma

海外ではそれらに加えてPythium(ピシウム)属菌によるガーベラの病害も知られているほか、国内でもイチゴやバラの根腐症状の病原菌として知られているPythium helicoides(ピシウム ヘリコイデス)が接種試験ではガーベラにも病原性を示したとの報告があります。右の写真は、ロックウール栽培のガーベラで、萎れて枯死する株が多く見られたことから調査した時のものですが、根があめ色に褐変腐敗していたり、地際茎まで黒変するなど疫病や根腐病を思わせる症状でした。しかし、腐敗部位からは、Pythium属菌のみが分離され、Pythium属菌による病害であろうと推定しました。

このようにガーベラに感染しうる卵菌の仲間は多いであろうと考えられますが、ガーベラで萎凋・枯死症状を生じる病害は卵菌によるもの以外にもいくつか知られています。病原により可能な対処も異なってきますので、「下葉から枯れが進む」、「生育が悪くなった」、「萎凋・枯死株が出た」等の異変に気づいた場合には調査を依頼されることをお勧めします。(2008.8.1)

[ TEXT:縄田 治 ]
 
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